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オレ竜采配について考える  [野球観戦]

先日行われたプロ野球日本シリーズは、中日ドラゴンズが53年ぶりに優勝した。クライマックスシリーズに入ってから圧倒的な強さを発揮し、文句のない内容で優勝・・・のはずだったが、最後の一戦で、驚きの継投があった。

”8回まで一人もランナーを出していない投手の交代”である。

im00066462②.JPG 力投する山井


試合後は、優勝のことよりも投手交代の方に興味が集まった。
なぜ、交代させたのか。何か特別な理由があったのか。

試合後の監督のコメントは、「山井が自分から交代を申し出たので代えた」とういうものだったが、翌日になって手の豆がつぶれた、投手コーチからの進言で交代させた、自分も本当は完全試合が見たかったなどと追加のコメントも発表した。後からコメントを出すと言い訳みたくなるので、こういったことを落合監督がするのは珍しい。それほど反響があったいうことか。


落合監督を見ていていつも思うのは、「この人はプロに徹しているな」ということである。勝つために何をすればいいかだけを考えて、最善の手を尽くす。そのプロセスを周りから批判されても意に介さない。

試合に勝ってチームが優勝したのだから継投は間違っていない。勝負事だから勝つために最善の手を尽くすのは当然である。しかし、それ以前にプロ野球は「エンターテイメント」である。野球で負けた、勝負事に負けたからといって、命まで取られる訳ではない。興行として面白くするために、山井続投というのもありではないかと、正直思った。


このことで思い出されたのが、今から10年前に、落合(当時現役選手)が巨人から日本ハムに移籍したときのエピソードである。
巨人を追い出されるような形で移籍することになった落合には、二つの球団からオファーがあった。1年契約を提示したヤクルトと、2年契約を提示した日本ハムである。当時はパリーグよりもセリーグの方が断然注目度は高かったし、同一リーグのヤクルトに移籍して、打倒巨人を目指すと大半の人が思っていた。
しかし、落合はあっさり日本ハムを選んだ。

理由は、条件が良かった(提示年俸が高かった)ということである。

プロはお金(契約年俸)で評価される、とコメントしていた落合にとって当然の選択かもしれないが、周囲はさぞ驚いたに違いない。なぜセリーグでプレーしないのかと。
しかし、落合からしてみれば、「打倒巨人」などという感傷論はまったく意味がなかったのだ。そんなことで高額のオファーを断る方がおかしいと考えたに違いない。

普通の人と違う考え方をする、というところが、落合の個性であり、見ていて面白いところだと思う。普通の人だったら3冠王は三度も取れない。


現役時代に数々のタイトルを取り、トッププレイヤーとして君臨していた落合は、負けた時、タイトルを取れなかった時の批判の怖さが身に染みついているのだと思う。批判をされないためには、「勝った(タイトルを取った)」という事実が一番有効だということをよく分かっているのだろう。
だから今回、どうしても日本一になりたかった落合は、完全試合目前の投手を迷いなく交代させたのだと思う。優勝という事実を作るために。

071101_bbl_npb_dra2_256.jpg


昨年の日本シリーズは新庄の引退で盛り上がったが、今年は落合采配でまた盛り上がった。来年もまた、楽しい野球観戦ができるのを今から楽しみにしている。


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